2013年2月2日土曜日

劇団東京蝉ヌード『すなあそび』

やあ、みんな。まあちゃんだよ。元気かな。
土曜の昼下がり。今日はあったかであったかで、なんだか暑いぐらいだね。


観て来たよ。劇団東京蝉ヌード『すなあそび』
阿佐ヶ谷アートスペースプロット。11時開演。
30分前には到着するように行くから、ぼくは家を9時半には出なくてはならなかった。だから朝、風呂にも入れなかったよ。だから帰ってきて、いま入ったとこ。

行くと受付で、甘酒一杯百円で売っている。
なるほど『渡し忘れたお年玉公演』と銘打ってあるだけあるな。
妙なところで凝っている。

本編の上演の前に、3つの短編が、お年玉無料公演として上演された。
無料公演たって本編も続けて観ることになるんだから、無料なわけないだろう。
そう思ってたら、ほんとに無料公演だけ観て帰っていったアベックもいた。驚いた。

ひとつめは『砂箱(The Sandbox)』エドワード・オールビー作。
姥捨て山ならぬ、姥捨て砂浜、みたいな話でした。
夫婦が老婆を運んできて、砂箱に入れる。
楽隊がリコーダーで演奏。ひとりだけどね。
老婆は文句を言いながらも横たわり、自分で砂を体に掛ける。
夫婦は去る。
ずっと近くで見ていた海水パンツ姿の男(死神?)が近づいてきて、「大丈夫だよ」とかなんとか言う。
終わり。シュールだ。

ふたつめは『三人の対話』ハロルド・ビンター。
すいません、まったく覚えてません。

みっつめは、『金色の魚』竹内銃一郎
金色の魚に恋した母が船に乗って行くのを、娘と兄が見送る。
最後に娘が詩を朗読。
なんていう詩だったかな。忘れた。

でも思い出したことがある。
学生のとき観た芝居。秘宝零番館『戸惑いの午後の惨事』(作、演出竹内銃一郎)。
あれも終わりで、髭のおっさんが石原吉郎『耳鳴りの歌』を朗読してたんだよね。
それを観たおれはカッチョイーって思ってね。
自分でも、『耳鳴りの歌』を暗唱するようになったのさ。真似っ子。
いまでもときどき何かの拍子に一人で『耳鳴りの歌』を暗唱したりする。
そう。そういうことだったんだよな。ぼくがときどき『耳鳴りの歌』を口ずさむのは。

ようやく本編の話なんだけど。
なんだかもう疲れたな。でも、もうちょっと頑張る。洗濯もまだ終わってないし。

芝居観ながら、よくできた台本だなあと思ってたら、そうかこれは別役実の作だったんだな。
最初に考古学者とその妻が登場。
海の歌を思い出そうとするが思い出せない。

これから砂浜でナウマン象の骨を発掘するところ。
でも神父がやってきて、これから救世主を掘り出すのだと言い出す。
医師と看護婦がやってきて、昨日埋めたファースト盲腸を掘り出すと言い始める。
海に遊びに来ていた水着姿のアベックも、何かを掘り出すと言い始める。

で、すったもんだの挙句、みんな去っていく。
残された考古学者とその妻は、砂のなかで動けなくなっている。
「私達、これから骨になって、未来の考古学者に発掘されるのね」

海の歌を思い出して、二人で歌う。


帰り道、阿佐ヶ谷の商店街を歩きながら、いい台本だったなあ、素晴らしいなあと思ってた。
そのうち別役実の台本なのだと気がついた。
見終わったあとも、オリジナルだとばかり思ってたよ。
そんなのはどうでもいいんだけどね。

『すなあそび』から、『銀河鉄道の夜』を連想した。
ジョバンニは冒頭部分で、牛乳屋に行っても、牛乳をもらうことができなかった。
でも、すったもんだが終わってから、最後にまだ牛乳屋に行くと、今度は丁寧に謝られて牛乳をもらうんだよね。
『すなあそび』では、最初に歌を思い出すことができないけど、最後には思い出すんだよね。
それが似てるなあと。
そんだけ。

ぼくはもっと別役実を研究したほうがいいかもしれない。

ごめん、ずっと台本にばかり気を取られていて、肝心の芝居についてはなんにも語っていなかった。いや、面白かったです。
もうちょっと動きがあるほうが好みだけど。
機会があればまた観に行きたいな。
応援してます。





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