2013年3月10日日曜日

劇団チョコレートケーキ『親愛なる我が総統』

昨日の夜は、表題の舞台を観たよ。下北沢の『劇』小劇場

稽古後下北沢へ。夕方5時半くらいには到着したけど、なんにもすることがなくてさ。駅周辺をぶらぶらするのも飽きて、下北沢タウンホールってとこに初めて入ってみたら、ホールに座るとこがあったんでそこでずっと待ってた。稽古で体を動かしたから疲れてたんだな、きっと。椅子に座って眠るなんてほとんど初めての経験かと。
1時間くらい寝てた。

さてそろそろ行ってみるか、『劇』小劇場へ。行ってみると、すでに人が並んでいる。しまった、もっと早く来て並ぶんだった。でも、これぐらいのほうがいいかも。どうせ当日券扱いだし。

当日券扱い。そうなんだよ。当日券扱い。この舞台、予約のメールを入れたときには満席で予約出来ませんとのことだった。でも席を増やすことになりましたっていうメールがあとから来て。とはいえ通常の予約ではなく、他の予約客が入ったあとの入場になりますとのこと。
つまり入場は後ですよ、頑張って並んでも、すぐに入って座りたい席に座れるわけではないということ。

でも結果的にはそれが功を奏した感じ。
あとから入ってみると会場は超満員。通常の最前列の席とステージの間の通路にも座布団が敷かれ、人々が脚を抱えて座っている。しかもギュウギュウ詰め。
ずっと昔の小劇場の芝居を思い出したよ。あの頃は、みんな桟敷席で辛い思いをして観劇してたよね。
僕が座るように指示された場所は、最前列の一番端っこ。壁よりの場所。そこにちっちゃな丸椅子が置かれていて、そこで観るようにと言われた。丸椅子かあ。一瞬思った。でも次の瞬間には喜んだね。だって近くの観客はみんな体育座りなのに、その辺ではぼく一人だけ椅子で高い位置から観ることができる。視界が広い。いちばん端だから、ちょっと見切れるけど、そんなに気にならない。
あとから入っていって優遇されてる感じ。周りの人に申し訳ない気分にも。
いや、ごめん。こんなこと長々書くことじゃないよね。すんません。

この芝居も若手演出家コンクールの対象のひとつ。
劇団チョコレートケーキについては、去年、『熱狂』っていうのを観たな。あれもヒットラーのお話しだった。ヒットラーが出てきて、演説してた。あれは正直いって辛かったな。ヒットラー役の人が頑張って汗かいて真っ赤になって演説するほど、こっちは眠たくなってきて。
眠気堪えるのってつらいよね、ほんと。
関係ないけど、芝居を観てて眠くなるのって不思議だよね。芝居のあいだはずっと眠いのに、芝居が終わった途端、眠気が覚めるの。あれってどういうわけだろう。


で、肝心の『親愛なる我が総統』のほうはどうだったかというとね。なんだか物凄いものを観たって感じ。驚いたね。

登場人物は4人。アウシュビッツ強制収容所の所長でもあったヘース。いまは捉えられ、裁判に掛けられようとしている。予審判事とその部下。それから精神科医

捉えられて判事や精神科医から質問を受ける。その質問に淡々と答えるヘース。

「私はヒムラーの指示に従っただけ」
「最初の実験のことはあまり覚えてません。きっとショックだったのです。でも次の実験のときのことはよく覚えています」
「私は鬼畜ではありません。人間として裁判を受けたい」

あくまでも冷静に語るヘース。しかし冷たさはそれほど感じない。人間味さえ感じる。
しかし最後の精神科医との問答。

「ユダヤ人もドイツ人も同じ人間なのですよ」
「いや、そんなことはない。ドイツ民族を愚弄しないでくれ」
「あなたは人間として裁判を受けたいと言ったではないですか。ユダヤ人もドイツ人も同じ人間なのですよ」

あ、いや、ちょっと違う。うまくニュアンスを伝えられない。

舞台全体として見ると、動きが少なくて、暗い印象。
でも、1時間気持ちが途切れることなく、舞台に集中できた。『熱狂』とは全然違っていた。
舞台セットもよかった。鉄格子がはまった窓からの光も面白かった。
やっぱり物凄いものを観たって感じ。勉強になった。



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