2012年10月10日水曜日

俳優のためのハンドブック その2

『俳優のためのハンドブック』
今日は最後まで読み、
それからまた最初から読み直した。
うん。買ってよかった。
演技についての考え方がすっきりした。


俳優は考える前に演じなくてはならない。

衝動が自分自身を表現しはじめたとき、俳優はいまこの瞬間を生きていると自覚できる。

すべての衝動を、疑いや批評から解き放つ。

戯曲の虚構を信じ込もうとせず、身体的アクションに集中する。

即興とは、どのようなアクションをすべきかを、瞬間から瞬間へと衝動的に選ぶこと。


読みながら、昨日の演劇ワークショップでの出来事を思い出していた。
簡潔なお題が与えられて、その状況を即興で演じるエチュード。

そのとき、ぼくに与えられたお題は『救急車を呼ぶ』というものだった。
どんな風に演じるかを考える前に、すぐに演じ始めなくてはならない。
ぼくはすぐに手に持った架空の携帯電話に向かってしゃべり始めた。
「すいません、救急車お願いします。お腹が痛くて。立ってトイレにも行けない状態なのです。(ぼくは床に突っ伏していた)はい、、、はい、、、お願いします」
ぼくは電話を切った。
そのあとどう演技を続ければいいのか、考えてはいなかった。
どうすればいいのか頭でわからなかった。
しかし衝動的に立ち上がり、ぼくは普通に歩き出していたのである。
「あれーっ、直っちゃったよ。さくさく歩ける。どうしよう、救急車呼んじゃったよ」
ぼくは右往左往した。
すると周囲で笑い声が起こったのが聞こえた。

ぼくの演技は成功したのだと思った。
これはつまりぼくが『身体的アクション』に集中して、衝動的に次のアクションを選ぶことが出来たからだと思う。

次に与えられたお題は『バスケットボールをする』だった。
どう演じようと考える暇はない。
ぼくはすぐさま架空のボールでドリブルを始めて、ゴールに向かい始めた。
ジャンプしてシュート!
次の瞬間、ぼくはバスケットのリングに両手で掴まっている演技を始めていた。
「わーん、助けてよう。降りられなくなっちゃったよー」

これも衝動的に選んだアクションだった。
状況設定がしっかりあって、台詞が決められている場合とは、もちろん違うかもしれないけれども、ああ、これが演技しながらも、いまこの瞬間を生きるっていうことなのかなあと思った。

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